おきチャン調査隊がゆく!!-Vol.007: 株式会社メジャーサポートサービス嘉手納事業所
沖縄県内の就労支援事業所を訪ねる「おきチャン調査隊」。今回は嘉手納町の中心ともいえる嘉手納ロータリーに2017年4月に開所した就労継続支援A型事業所「株式会社メジャーサポートサービス 嘉手納事業所(※以下MSS嘉手納事業所)」に行ってきました!!
◆スタッフ紹介
現在職員は常勤4名、非常勤1名の計5名。
本来であれば職員は常時事業所出勤だが、コロナ禍ということもあり利用者の出勤状況に合わせてシフトを組んでいるとのこと。事業所にうかがった際は、
・丸い眼鏡が印象的なサービス管理責任者兼管理者の末吉さん(中央)
・沖縄県内でも珍しい苗字という生活相談員の久銘次さん(右側)
・無駄に大きい職業指導員の喜納さん(左側)
の3人がお出迎えしてくれた・・・のですが、なんと利用者がみあたりません!?
◆利用者が2名しかいない謎風景!?
整然と壁に向かって配置された机や椅子。テーブルに並べられたノートパソコン。利用者は確か20名以上と聞いていたのですが、もしかしてお仕事ボイコットされたのか!?
って調査隊が心配して聞いたところ、感染症対策でほとんどの利用者がテレワークでお仕事をされているのだそうです。それを聞いて一安心☆
でも・・・ テレワークでできる仕事って、いったいどんなことされているんでしょうか?
◆Webライティングに特化した業務
実はこのMSS嘉手納事業所、インターネットに掲載する記事の制作業務に特化した事業所とのこと。すごくザックリいうと作文を書く仕事を提供しているのだそうです。
下のパソコン画面を見てください。
とある月の業務管理表らしいのですが、記事制作件数が300件。制作スタートから納品まで1っか月満たない期間で完納しています。この件数が多いか少ないかピンとこない調査隊ですが、とりあえず気になる点を聞いてみました。
【質問1】紙に書かれた文章をパソコンに入力するのですか?
=それは「データ入力」という分野になります。正確に早くタイピングができるスキルを持っている方向けのお仕事ですね。こちらではインターネットの情報を参考にし、一からから文章を書いてもらっています。
【質問2】自分で考えて文章を書くのですか?
=はい、クライアント(=お仕事を発注されたお客様)からインターネットで検索してるだろうなっていうキーワード(=お題)が提供されるので、それに沿った内容の文章制作をすることになります。
【質問3】自分で考えて作文を書くのですか?
=いただいたキーワードを元に、どんな文章が読まれてるのかをインターネットで調べ、その内容を理解し、自分の言葉で文章を書く必要があります。
【質問4】どのくらいの文字数を書くんですか?
=1記事1200字書く必要があります。小中学校の頃に合った作文の授業で出てきた原稿用紙1枚が400字詰めなので、それを3枚書くのと同じと考えてください。
【質問5】ひとり当たり1日何件書くんですか?
=徐々にステップアップしていって、最終的に3件書けるようになれば、1日分の給与を自分で稼いだということになりますが、それは最終目標値なのでご安心ください。まずは1日1件の文章が書けるようにトライしてもらってます。
【質問6】読書好きじゃないとダメですか?
=確かに本を沢山読んでいる人のほうが知っている言葉も多いですし、文章表現が豊かな傾向はあります。ただ全く書いた経験がなくても、接客業を経験している人は良い文章を書ける傾向がありますよ。
【質問7】接客業経験がなぜ関係するのですか?
=接客業は、お客様にどうやって言葉を伝えればいいか、常に考えないといけない職業ですよね? 言葉選びはもちろん、発する順番も考え会話を組みたてていく必要があります。この経験が文章を書く上でプラスに働きます。
【質問8】ほかに向いている人の傾向ってありますか?
=考えることが苦にならない人や、好奇心旺盛な人にとっては凄く楽しいお仕事のようです。
うーん、お仕事は凄く難しそうなイメージしか湧かないですって伝えたら、職業指導員の喜納さん
「難しいですよ~♪」
ってニッコリ笑顔で答えてました。恐るべしMSS嘉手納事業所…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
こんな厳しそうなお仕事、ホントにやりたがる人いるのかって思ったのですが、なんでも 業務内容に関する問い合わせや業務体験の件数は、昨年から増加傾向にあるとのこと。
その傾向に拍車をかけたのが、コロナ禍を機にスタートしたテレワークへの取り組みなんだそうです。
◆利用者へ新たな扉を開くテレワーク
MSS嘉手納がテレワークをスタートさせたのは、コロナ禍の中で利用者の安全を確保することを最優先に行政からの要請が入る目安であった、沖縄県独自の緊急事態宣言が正式に発令されるほんの少し前。
国の一般向け就労形態もテレワークを推奨する方向に大きく舵を切る中、就労支援の現場にもこれからはそういった就労形態を積極的に取り入れることが必要と判断した。とお話されていました。
実際、就労条件に「テレワーク可」として募集をかけたところ、早々に沖縄県内でも嘉手納から遠く離れた名護市、海を越えた宮古島から応募があり、採用にいたったそうです。
そして現在、秋田県、神奈川県 、山梨県 、山口県の4件からテレワークでMSS嘉手納で就労する利用者がいるとのこと。特に女性の応募者が多く、男性に比べると家事や子育てなどで行動範囲が制限され、職業選択の自由が手に入れられなかった利用者に向けて、就労への新しい扉を開いたと実感しているそうです。
◆MSS嘉手納としての就労支援のカタチ
正直、一般就労を支援のゴールとした場合、MSS嘉手納の取り組みは、業務内容や就労形態を見ても「利用者の身近なところに一般就労先が見えない」という問題があるように感じる一方、これから就労支援の現場だけではなく一般就労の場であっても求められるであろうスキルを身に着けられる強みがあります。
例えば、Webライティングでは以下の能力が仕事を通じて育まれます。
・情報収集力
・情報理解力
・情報整理力
・情報表現力
さらにテレワークでは、離れている人と円滑に業務を進めるため、
・コミュニケーション力
を磨いてゆくことができるでしょう。
MSS嘉手納の就労支援のカタチは、いっけんWebライティングやテレワークというキーワードが目立つため、IT専門に特化したように見せかけてはいるのですが、実際にはどんな職業であっても必ず求められる仕事の基礎スキル向上を目的としたものなのかもしれません。
MSS嘉手納のゴールも他の就労支援事業所と同じく、利用者の明るい未来をカタチにすることなんだと感じた取材でした☆
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